ロフトプラスワン:『オタク論!』出版記念トーク 唐沢俊一×岡田斗司夫 オタク第一世代が語る「オタクって何だ!?」

最近鬱屈していたのは、やはりこういうイベントに参加してなかったからだな。
というわけで上司も同僚も振り切って、17時には新宿へと向かうことに。
久々のロフトプラスワンであったが、唐沢俊一岡田斗司夫両氏のイベント中心に何回か参加している私には、馴染みの顔ぶれを見かける。自分のことを棚上げして、酔狂なやつらなどと失礼な感想を抱く。
中でもアーミールックのお兄さんはヘビースモーカーで、時をおかずに「GITANES」という銘柄の煙草を吸い続け、4時間で20本吸いきったのではないかと思う。大いに閉口した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%B3
それはそれとして。
雑誌「創」の編集長が「オタク論」イベントにも関わらず、角界内部告発の貴重なインタヴューを…という意外な出だし。
全体構成としては、岡田斗司夫唐沢俊一氏がそれぞれソロで語り、その後キヨタニさん(ライター・海外オタク系事情に詳しい。唐沢俊一氏の文筆業サバイバル塾生)のフランスで行われたオタクイベントの報告をはさんで、最後に岡田・唐沢両氏の語りに繋げるというもの。
岡田斗司夫
大学の講義調で「オタク」周辺の現在思うところを語る。
まず当然のごとく「オタク業界の闇」と銘打たれたサイゾーの件に触れる。
惑星開発委員会のUNO氏とは面識があり、なんでも氏は評論を出版する企画が過去あって、もし実現していたら史上最年少の評論出版になったとかならないとか。
ここで指摘したのは
・オタク業界マッピングで自分とその周辺をマトリクスのど真ん中に置いているのはカッコ悪い。客層を読んでない。
・結局、世代論は結末が「今の若いやつは駄目として年配の読者層を得る」か「年寄りには若い感性がないとして若年の読者層を得る」か、どちらかにしかならん。
この世代論はそろそろ論として面白みがなくなってきている点から
論というものが、昔のように偉い先生が立ち上げて権威付けがなされて、それを継承する弟子が集まって一派をなし、対立する者どもと知的な戦いを繰り広げる、そのような時代ではなくなったことに話が展開。
たとえば世代論の賛否よりも、軸線をズラして地域性で語るのはどうか。
アメリカの地域性を、欧州へのコンプレックスがあるがエスタブリッシュでそれなりに収入もある東海岸、何でも新しいものやったるぜアメリカンドリーム(馬鹿)な西海岸、そしてバイブル正しい強いアメリカ万歳の中央。
これをオタクに適用して、SFにコンプレックスがあるオタクの東海岸、最新作至上主義の西海岸、オタクは正しい!と気勢を上げて権威を求める中央、とか。
つまり、もはや論は連歌の発句にしか過ぎない。2chのスレッドを立てたようなもの。(作者の意図と違って過剰に賛成したり、反対したり、別の論に発展させたり、それさえも論の変化を楽しむ方向性)
その論の正否や賛否は関係なく、うまく論を転がしていくことに焦点が当たっているのだ。


気になっている点として、オタクは「マイノリティ」「弱者」としているが、本当にそうなのか。
独身男性や独身女性が過半数を越える世界では、誰もが「オタク」的になり得る社会。そのためのインフラは整っている。
彼らは(われらは)独身であることを現実的な感覚として理知的に判断して選択している。つまりはマイノリティでもなく選択肢の存在しない弱者でさえない。
大切なのは心の実装:自分で選択してあること?
唐沢俊一
岡田斗司夫氏と違って、ノートがあって系統的に語るわけではない。個々のエピソードが面白く、こちらもそれを楽しんでしまったのでほとんどメモとらなかった。
なので、本当に印象に残ったとこだけ。
宇宙戦艦ヤマトの再放送運動はわずか50名の署名で実現されたとは。札幌の地域性恐るべし。
・奥さんをオタク教育するも、「魔人ハンターミツルギ」を絶賛していたものの、実際にLDが発売されて視聴されてしまい、見事に失敗。
・昔の作品は空っぽゆえに、そこに様々な思いを込めて語ることが可能。
クレクレタコラ「国が欲しいのよ」に見られるように、制作者が大人が仕事として作らざるを得ない(ある意味どうでもいい)作品も、内面の葛藤が表に出てしまうときがあり、そこに惹かれる憧れるぅ〜。
YouTubeのようなどの年代も自分の嗜好を探りながら色々な映像にAccessできる世界にあって、世代論は意味ないし、情報格差がないゆえにオタクという括りにはならない。もともと他人より特定領域の情報に固執して収集しにくい・忘れ去られていく作品をもって自分の愛を注ぎ込むのがオタクであった。それは強烈なマイノリティだったわけだ。
・普通のオタクは最新作を追うだけで死にそう。山本弘氏のように放映作品はほとんどすべて追っている、とか。唐沢氏は過去へのベクトル。作品を再発見するだけで手一杯。
●キヨタニ氏?
フランスで行われたオタクイベントを写真紹介(PCのスライドショー)といった形で。
アメリカでさえ動員4万人なのに、フランスは何でも8万人も動員したとか。
驚いたのは、イベントはコスプレ中心で、美少女・美女が多い! 「Free Hugs!」と書かれた紙を持ったコスプレ女性は、頼めば抱きしめてくれるのだが、これが羨ましくなるくらいエー女性がそろっている。ああ、フランスに行きたい…。
コスプレもゴールドセイント(聖闘士星矢)の女性が集った写真なぞ、家宝にしたくなったほどでしたよ。
日本の女子高生のコスプレも多かったが、すべてルーズソックスというのが笑えた。
さらに水木一郎もたまたまなのか、イベントに参加していた。何でも「俺のことを兄貴って呼んでくれ」と言う前に、フランスの30代・40代のオッサンが「兄キー!」「アニキー!」と声援を飛ばしていたとか。素晴らしい。
あと何年か前に紹介されていたフランスのオタク・セバスチャンさん(声優志望・夢は日本人の奥さんもらうこと)のその後についても。
なんと、ちゃんと日本人の奥さんをもらって行徳の松屋でバイトしつつ、声優になるべく精進しているそうだ。すっげーなあ。
とにもかくにもフランスのコスプレイヤー(美少女)は眼福でした。女子高生系は足の太さが気になったけど。あとフランスでイベントがあっただけで、ヘルシングのセラス・インテグラの格好をしていたのはドイツ人という話だった。
以下はキヨタニ氏が現地と帰りの機中で出会った漫画家の水野純子さん。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E9%87%8E%E7%B4%94%E5%AD%90
岡田斗司夫唐沢俊一
集中力が切れた。とりあえずメモレベル。
サイゾーの記事で提灯記事しか書かないと指摘された氷川竜介氏(あとは藤津亮太氏)、その反論が意訳すると「俺は提灯記事を書いてるかもしれんが、悔しかったら俺レベルの提灯記事を書いてみろ」といったものであったらしい。
・氷川竜介氏はもともと日本のインフラを立ち上げるようなチームにいた技術者だったらしい。それがアニメ評論でやっていくために、すべてを投げたとか。理路整然としていつつ短気で、アニメ夜話で優等生的な発言だけをもって判断するのは誤りで、もっと闇の氷川竜介氏を知るべき。一流技術者の感覚でアニメ評論をやっているため、同じレベルの高さを編集者にも要求するので、微妙に会話がかみ合わなかったりするのだそうだ。(「そんなレベル高いやつが編集やってない」とかいう失礼な発言も(笑)そんな面白そうなシーン、見てみたいやね。
岡田斗司夫氏は「電脳コイル」を“許せない!”とまで言っていた。かなり文句がある様子。どういった視点で文句を言うか興味あるなあ。
・岡田、唐沢両氏とも、自分の既成概念を壊してくれそうな論や作品や出来事はWelcome!(いや凄いね)
・ショコタン(中川翔子)についての話が滅茶苦茶面白かった。岡田氏曰く「女らしさの削ぎ落とし方が凄い」。確かにオタク的なことに理解があり、熱心(というかガチ)なオタクで、吸収力も半端ではないが、一見して理想的なオタクの彼女に見えるが…Visualがいいだけで、女らしさとは違う生き物になっている。これを表現して“イタイ”というのだ。いや、笑ったね。
・父殺しをしないで大人(男)になると、ファザコンになる。ファザコンは「父親なんだから、完璧な父親でないお前は許せない」という論理になる。クレーマーに近い。
・あと今の21歳以下はBlogさえ読まないとかいう話もあって、ほんとに世の中情報を得やすい場は流動的で心休まらないものだと思った。ある程度鎖国的にならんと身がもたん。まあ、結局は生きやすいスタイルに落ち着くのだろうけど。
[追記:思い出したらメモっておく]
岡田斗司夫氏は「電脳コイル」は文句タラタラなのに、「ハルヒ」は絶賛ぽかった。うーむ、おいらは「ハルヒ」にはそれほど食指が動かんのだよな。
・このイベントの企画は、岡田・唐沢両氏のオタク清談を担当していた創出版のK女史によるもの。このたび某大手(?)出版社に栄転となったため、最後に花束を(岡田・唐沢両氏を経由して)手渡されていた。岡田氏は「俺の出版社幻想(担当女性編集を手篭めにする?)を破ってくれて…」とかイジっていたが。
・フランスのイベント、露出度がかなりいってます。やばいです。思わず渡仏してしまいそうです。そして極めつけはハグ! スキンシップ! いや心が折れそうだわ。

本日の戦果


 ◆Expedition to Castle Greyhawk: A D&d Adventure Supplement 到着
 ◆Expedition to the Ruins of Greyhawk 到着
 ◆ワニマガジン社  垓層宮  安倍吉俊 到着
到着したと思ったら、◆Expedition to the Ruins of Greyhawkが2冊入っていた!(Castle Greyhawkはどこへ?)
ちゃんと仕事しろよ、Amazon! んったく、頼むぜ。