ベルフィービー(1)

妖精郷の騎士―ハロルド・シェイ2 (ハヤカワ文庫 FT 37 ハロルド・シェイ 2)

妖精郷の騎士―ハロルド・シェイ2 (ハヤカワ文庫 FT 37 ハロルド・シェイ 2)

唐突ですが、ハロルド・シェイシリーズ(ディ・キャンプ&プラット ハヤカワ文庫FT)に登場するベルフィービーの魅力を検証してみたい。
彼女の魅力を検証するとともに、DnDのシステムによってこれを表現するのも一興であろう。
まあ、Rangerであるには違いないのでありましょうが。


●外見的な特徴
「妖精郷の騎士」には彼女の登場シーンが以下のように描写されている。

足音がして、短いスカートのついた上着をつけ、やわらかい皮製のブーツをはいた長身の、
すらりとした痩せ型の女性があらわれた。
片手に弓、いまいっぽうの手に軽量の猪狩用の槍をもっていた。
女は、しなやかに疾走して彼らのところへやってきたのだった。
それが彼女のごく普通の歩き方でもあるように。
シェイのと同じような羽根飾りつきの帽子を赤味をおびた金髪の上にかぶっていた。
髪は長めに整え垂れ下げていた。
たぶんにLongbow、Shortspear装備した、敏捷性に長けた女性だということが分かる。
ひょっとするとBootsがMagicalだったりすることもあるだろう。
●性格
また彼女のキャラクタについては、続く自己紹介以下に記されている描写から読み取れる。

若い女の眉がつりあがった。それがとても愛嬌のある表情であることに、シェイは気づいた。
「はじめてお目にかかります。私はベルフィービーと申します」
(中略)
ベルフィービーは、興味津々の面持ちでこの武器を見つめた。
「まあ! 風変わりな武器ですね。握り具合をためしてみてもよいですか?」
シェイは、彼女のためにフェンシングの試合刀の構え方と突きを二三度実演してみせた。
魅力的な女性の目の前で自分の技量をひけらかすこの初の機会を大いに楽しんだ。
ベルフィービーはためした。
「あ痛いッ! あなた流のこの構えは、イスラム教徒がミサに出席したみたいに勝手がちがいますね、
 地主のハロルドどの」
彼女は声をあげて笑うと、試合刀をシェイに投げ返した。
「いつかもっと教えてくださいますか?」
礼儀正しいが、堅苦しくはなく、自分の好奇心には非常に素直なようだ。
●技量
そして彼女の技量については、やはりRangerのCombat Style持ちだと思わせる描写があります。

「そうしていただくだけでは私の気がすみません」と、彼女は言った。
「いいですか、待っていてください」
ベルフィービーは、矢を一本抜くと、忍び足でおもむろに彼らのそばを離れていき、葉群れの間を
しげしげと見つめていた。シェイは、彼女の視線を追って目を凝らしたが、生い茂る木の葉以外に
何も見ることはできなかった。
そのとき、ベルフィービーは流れるようなひと動作で弓をもちあげ、狙いを定め、引き絞り、矢を放った。
シェイには彼女がでたらめに矢を射かけたように見えた。
矢の突き刺さる音がした。
木々の間から緑色をしたコンゴウインコそっくりの大きな鳥が落ちてきた。
ドサッという音をたてて腐葉土の上に落ちた。
そのあとから二枚の緑の羽根がひらひらと舞い落ちた。
●レベル
そして彼女がRangerとしてどの程度のレベルにいるのかを判断するのに重要な記述がある。
それは彼女自身の口から、魔術が唱えられるということが語られるのだ。
それによれば8レベル以上はありそうである。

「魔術の問題についてお話していらっしゃったようですけど?
 魔術があなたがたの生業なのですか?」
(中略)
「白ですか、黒ですか?」ベルフィービーが語気鋭く聞いた。
「舞い落ちる雪のような白ですよ」とシェイ。
ベルフィービーは険しい目つきで彼らを見つめた。
彼女はオウムをひとかじりし、何の苦もなく食べている様子だった。
(中略)
ベルフィービーが言った。
「妖精の国に白魔術師はあまりいないのです。しかも、みんな登録されています。
 名簿に追加されるべき魔術師がいたとすれば、最後にアーティガル卿に会ったときに、
 その旨私に知らせていたはずです」
「これは驚いた」
シェイは気分が滅入っていくのを感じながら言った。
「あなたも婦人警察官なんですか?」
「婦人…なんですか?」
「バス勲爵騎士団の一員ですよ」
「いいえ、違います。私は勝手気ままに放浪しています。でも、節操を良き師としております。
 私は…でも、ちょっと待ってください。あなたがたは私の疑問に半分も答えてくれておりません」
「どんな疑問ですか?」とチャーマーズが聞いた。
「私はあなたがたにはじめてお目にかかったのに、あなたがたは白魔術師だとおっしゃっているのは、
 どういうことでしょう?」
「ああ」シェイはおだやかにいった。
「われわれはまだ人の注目を惹くほどの術を習得していないということだと思いますよ」
「そうかもしれません」ベルフィービーは言った。
「私も、あなたのいわゆる“ちょっとした術の二、三”ぐらいなら心得ています。
 でも、自分をキャンビナと比べるような慎みのないことはできません」
といった塩梅。
●ユーモア?
最後に、彼女の素晴らしさをちょっとだけ。

「ああ、そうそう。貴方は“口喧しい獣”を負かしたあの話の意味を説明してあげると約束しました」
シェイは答えた。「猫でさえ好奇心のために死にました」
「にゃおう! でも、この猫は九生あって、私は、いざというときに利用するためにあと六、七生ぐらい
 残してあるんです」