虐殺器官(の情報)

まず真理省(速水螺旋人さんのサイト)の6月23日の日記で、くだんの書籍が魅力的だという話が出てくる。
とくにその後情報を収集するでもなく放っておいたのだけど、「さて次の企画は」の6月30日にこれが大々的に取り上げられている。
これによると「虐殺器官」は著者・伊藤計劃(本職はWebデザイナー)のデビュー作で、ミリタリーアクション小説でやはり無茶苦茶面白いとの評価を受けている。
そしてどういった位置づけにあるのかを、さくっと提示してみせている。
作品的には士郎正宗攻殻機動隊」(サイバーパンクSF)以前、現代ミリタリーもの(トム・クランシーとか?)以後、近未来的な独自の世界設定の中での戦いを描いている、らしい。(そのため造語というか、ありそでなさそでどっちなのか分からんガジェットが散りばめられているようだ。サイバーパンクに寄りすぎない点が新しい?)
リエーターの立ち位置としては、福井晴敏の次に来る作家としての資質を備えていると説く。
福井晴敏にはいまいちピンと来ない私だが、たぶん佐藤大輔皇国の守護者)、佐藤亜紀(1809など)あたりの方がミリタリー的には心に適うからであろうし、バディものとしてはジュヴナイル的な方向にズレているからであろう(いやアフタヌーン掲載の「終戦のローレライ」なんか普通に読めるが、「ふ〜ん」といったあたりで心が動かない。)。
それはそれとして、ここで福井晴敏の読者層をジージャンズとしているところに、このサイトの面白さと胡散臭さ(とくに悪い意味ではない)があると思うのだが。
ただおいらにはジージャンズとかボンクラ系とかのカテゴライズ(モテ系や非モテ系、世界系や決断主義、など)は、使うのが躊躇われるある恥ずかしさというか、若者言葉に抵抗がある親父世代のような気持ちがあったり。まあ、どうでもいいか。
ベストセラー作家としての福井晴敏、その読者層、そして賀東招二と持ってくるところには「なるほど」と思わせる。脱線ではあるが。
福井晴敏とともに賀東招二も読んでないので、どうやら自分は彼らのターゲット層には属していないのだということが逆説的に分かる。
こうした括りから「虐殺器官」を自分の読むべき書籍ではないと判断するのは簡単だけど、たぶん他に与える影響という点では読んどくにこしたことはないのであろう。


しっかし注文するにしても積読本増やしてどうするの?といった点と、こういった時流をおっかける(そして分析して自分なりに位置づける)読み方は知的にタフでないとあかんよな。知的にタフということは、体力的にもタフということなんだけどなあ。