練馬の立ち食い蕎麦屋

その時代に取り残されたような店内の閑散とした佇まいは、なかなかに貴重な空間かと。
入ってみると、券売機はあるのに使わなくなって久しい状態なのがまず新鮮な驚きを喚起する。
先日利用したときに、常連と思しきオジサンが後から入ってきて「かけそば」を注文していたのだが、「御代は?」「300万円だよ」という駄菓子屋会話をしていた。
さらにラジオで巨人戦中継が流れていたのだが、店主と常連の会話からすると、このラジオは“巨人戦しか”流れない(TBSエキサイトナイターのことか)代物であるらしい。
なんというか市場リサーチの必要性だとか商品開発の苦悩だとか、企業戦士が最前線で家族のため日本のため壮大なプロジェクトを胃をキリキリさせながら進めている一方で、どこか軸線がズレ過ぎて決して交わらないような世界というか空間があるのは、良くも悪くも実に心洗われる思いになることよ。
あれだな。子供の頃、妙に隅っこに外れて居て放心してると安心したあの心持に近いのかな。