ストレンヂア 無皇刃譚(むこうはだん)

朝、シネ・リーブル池袋で映画を観ようと思ったら、この日から上映時間が21:00過ぎからの1回だけに変わっていた。
このためパンフレットだけ購入していったん帰宅。改めてテアトル新宿(去年、「時をかける少女」を最初に観た映画館)の16:25からの回を観て来た。


上映時間の確認をするため、池袋・旭屋書店で「ぴあ」を探していたとき、たまたま大槻ケンヂの「クローン人間ブルース・リー 怒りのスリードラゴン」を鑑賞した後の虚無感についての文章を読んでしまい、笑い転げる。どんな作品かというと、以下URL参照。ブルース・ワン、ツー、スリーのくだりが最高。
http://mugenmasakazu.plala.jp/GMFestival/movie/lee01.html


それはともかく。
ストレンヂア」は噂に違わぬ骨太な映像作品でありました。
ときは戦国、大陸(明国)から送り込まれた武装集団は、皇帝の命により一人の少年を追っていた。その少年、仔太郎は逃亡生活中に、わけあり浪人の“名無し”を用心棒として雇う成り行きに。
舞台となる赤池領はかなり丹念に描かれ、登場人物の交錯も緊張感とともに展開され、武装集団一の手練・羅狼と過去を捨てた浪人たる“名無し”の対決が物語のクライマックスとなっている。
この作品の肝を語るには、たぶんパンフレット29ページの氷川竜介氏の文章を借りてくるのが一番だろう。
剣戟アニメーションとしては「重力」「空気」「五感」がポイントであり、直接視覚化できないものをどう描くかという点に注目している。中でも「五感」の「痛み」を重要視しており、佐藤亜紀さんの講義を連想させる。
困ったことに、楽しむべき殺陣は綿密に描きこまれているにも関わらず展開する速度はかなりのもので、一回鑑賞しただけでは実は把握しきれない。
これはDVDを買えとのテクニカル・トラップなのかと疑いたくなる。が、それだけのモノを投入している証でもある。
個人的には、仔太郎の成長物語としての側面が気に入っている。
何もBoy meets Girlだけがジュヴナイルなのではなくて、少年が何か大切なものをみつけて旅立つのもまた、私の好みの範疇なのだ。
[追記]
観ていて「精霊の守り人」のバルサとチャグムの関係を連想してしまった。バルサが名無し、チャグムが仔太郎といった対比である。