霧の古城(&天空の騎士団)忘年会

私の商業PBM(Play by Mail)への参加はNET88からで、クトゥルフ神話の「ク」の字も知らない上あまり交流に楽しみを見出すタイプでもなかったのだが、それでも新しい形態のゲームということで参加してみたのが始まりだ。
それは有限会社遊演体が主催した郵便を使ったゲームで、まず最初にキャラクターを作成する。ゲーム内物語は12回1年で構成され、毎月キャラクターの「アクション」を送付すると、物語形式の「リアクション」が返送されてくるという代物だった。当時のGame Graphix(現在は休刊。Model Graphixの親戚みたいなもの)に掲載されていた読者投稿の誌上ゲーム「ドラゴンベアラー」や「イングリッズレース」に似ていたが、自由度は段違いであった。有名な「蓬莱学園の冒険」NET90にもPlayerとして2キャラ登録して参加した。交流不得手な私は、活動的な参加者がゲーム内情報をまとめてミニコミ誌で出しているものを利用していたが、登録キャラを複数にして別行動を取らせることで全体像を掴もうとしていたと思われる。何しろ当時のことはかなり記憶の彼方。推測しつつ語らねばならない。
1990年には大学を卒業して4月には社会人となっていたので、後半はそれほど熱心には活動していなかったのではなかろうか。中村博文のイラストに魅せられつつも、ゲームというよりは知的遊戯といった趣が強い本筋と、アナーキーに暴れまわるサイドストーリー、ともかく混沌としていて面白いのだが、楽しみつくすに己は力不足といった印象であった。
あと関係ないが冨士宏描く“仙ちゃん”は非常に私の心の琴線に触れるものであった。たぶん後々色々なところに影響が出ている。
そんなこんなでPBMの受け手にいるより送り手になってみたらもっと面白いかもと思い、NET91「那由他のはてに」ではマスターと呼ばれる「郵便で送られてきた各キャラクターのアクションを取りまとめて文章に起こす」役割のバイトを始めたのである。幸い私の拙文でもマスターに採用されたので、最初は手探りであったが、送られてきたハガキに記載されたアクションを繋ぎ合わせて物語を捻り出すという苦しくも楽しい作業に没頭した。無論、会社に知られてはマズイので、毎月「リプライ」を書かねばならぬ5-10日あたりは何かと理由をつけて会社を定時で抜ける算段をしていた気がする。
そしてこのゲームの肝であるLive Analog Communicationの真髄を堪能できる一連の物語に出会う。
それは「那由他のはてに」の中の仮想市街で、特撮物語を転がすというものであった。俗に「バトルレンジャー」として括られる話であるが、個人的な趣味全開で、悪の女幹部・ジルベルスターと正義の戦隊司令・赤飯鯛太郎の恋物語を挿入できたのが自分的に満足できる点であった。田中としひさ氏に「リアクション」のコミカライズをしていただき、「ひゃっほう、そいつは素敵に愉快だぜ!」という気分であった。参加者からキャラクターイメージソングを編集したカセットテープを頂いたり、センスのよいミニコミ誌を送ってもらい、仮想世界に遊ぶ楽しみを満喫できた。
この後NET93で「夜桜忍法帖」が来るのであるが、ここではほとんどリアクションを書いていない。
これは母親が胃癌で入院したため、この時期は精神的にも肉体的にも全然余裕がなかったためだろう。
そして94年に母親が亡くなり、NET95「鋼鉄の虹」が開始されることになる。
当時自分がどう思っていたかは思い出せないが、30歳になる前にもうちょっと仮想世界で好き勝手にやれるならやってみようくらいの気持ちだったように思う。
実際、グランドマスター水無月知宏氏や田中桂、坂東いるか(真紅郎)各氏には、とくに制限をかけられたり、何か細かい点を指摘された覚えはない。むしろ色々とお世話になったりもしたのだが…。まあ、おいらの場合PlayerもMasterも生暖かい目で見守ってくれていただけだったりするかもしれない。
それでも好きに話が転がせるのは非常に助かった。(ただし、現在当時の自分の書いたモノを見るのは非常なる勇気が必要だと実感している。)
ここで設定したNPC伊藤明弘氏がイラストを起こしてくれたのも、なかなかに凄いことであった。
長々と書いてきたが、ようやくここで当時「霧の古城」「天空の騎士団」という括りで語られる物語に参加して盛り上げてくれた戦友のような方々の登場となる。
ま、物語の内容については省きますが。
あれから12年が経過して、こうして忘年会を楽しむことができるのは、なかなかに奇跡的なことではなかろうか。特に私はその後、マスター稼業を辞めてしまっているので。


新宿地下に集った10名の勇士は、幹事ヴァルトルート*1に率いられて、一路約束の地“Pasela”を目指すのであった。
しかしPaselaには入っていると思った「ミラクルパワー(歌:千葉紗子コメットさん☆)」も「鉄人28号FX」のオープニング・エンディングどれも入っていないのが痛かった。
ヴァルトルートの歌う「ドリームシフト(絶対無敵ライジンオー)」やユーニの歌う戸川純吹けば飛ぶよな男だが」とあと何だっけ? が印象に残る。特にユーニはこの面子の中では紅一点で、非常に綺麗なソプラノで歌ってくれるのだ。
3時間十分に歌った後、場所を「世界の山ちゃん」に変えて2時間半みっちり食べてダベって過ごした。
みんなニコ動が好きなんだなーあたりが総括か?
ドアラ中日ドラゴンズのマスコット)で盛り上がり、自衛隊員のPBM悲話で盛り上がり(リアクション到着前に演習で北海道に行かねばならなかったため、知り合いに内容を要約して教えてもらう手配とかしていた)、全国に散らばるPlayerと連絡をとるための苦労話(電話代が洒落にならない。パソ通のために寒空の下公衆電話を利用していたら職質されたとか、テレフォンカードのカウントが異常な早さだったりとか、携帯がようやく出たので導入したら月額7万になったりとか)で盛り上がり。
楽しい時間を過ごさせてもらいました。いや、感謝感謝でありますよ。
また御縁ありましたら一緒に遊びましょう、といったところ(新井素子風。

*1:今回の幹事。本業はお役人さん。そのリーダーシップには感心させられ、その記憶力にはいつも驚かされる。お世話になっています。