本日の戦果


 ■双葉社  マエストロ 3  さそう あきら  
迫力満点、堂々の完結。凄いや。
個人的には島岡さんのエピソードが味わい深いと思う。
管楽器奏者の命である歯並びを、愛する孫の駄々によって悪くしてしまったときの目つきが痺れる。
アクシデントとはいえ、愛する他人に自分の根幹に関わるものが突き崩されたときのやるせなさはないよな。
そんなこんなを飲み込んで、音楽を演奏する喜怒哀楽すべて詰め込んだラストは心動かされる。
真剣だ。真剣勝負ならぬ真剣人生なのだ。*1
音楽を演奏する側にいないゆえ少なからぬ羨望を込めつつ、そう思った。

*1:真剣というキーワードを聞くといつも「1・2の三四郎」を思い出す。主人公の三四郎たちが柔道で藤見高校に出稽古に行ったところ、相手の真剣さに「あいつら本気で柔道やってんじゃねえか」「全精魂かけてやってんやないか」「ワシらが勝てるわけねえじゃねえか」と自分たちの認識を改める場面を連想するのだ。