凝視録―為五郎覗き・除き人生 桑迫 昭夫 朝倉 喬司 現代書館

凝視録―為五郎覗き・除き人生

凝視録―為五郎覗き・除き人生

まだ途中だけど、かなり面白い。
生きることは病であり、覗くことはやむにやまれぬ生き方なのだ。覗きは除きであるとも。
街が視線の行き届く場所に変貌したとき、監視の目に耐えきれぬ人間は行き場を失う。
戦後の経済復興を支えたのは青カンパワーだとか、片思いの人間と窃視者の心理構造上の類似点だとか、色々と楽しいことばかり書かれている。いや悲惨なことも目が離せない。
中でもタメさんと吉行淳之介との対談からの一文が心に残る。
「女(女子高生)がパンツ全部おろして、男が見てるわけです。そのとき女がニコッて笑って、とっても誇らしげな顔をする。パッと見せることにね、非常に誇りを持っている。(中略)最後に男(大学生)がチンポ出してセンズリかかせる。女の子はカバンをこう後ろ手に持っているんです。ここでこうやっているのをこうやって見ている。ピピッと出るわけですね。カバンをパッと落としてね、拍手をする。」
(中略)
ここには性への誇りと自信があり、また尊敬があった。無邪気な性の初心者は、無垢な性を示してくれた。
小池一夫小島剛夕「半蔵の門」で家康がおまんと風呂場で互いの陰部を見せ合う場面を思い出した。久々に本棚から引っ張り出してみたが、これもまた良い作品である。
半蔵の門 第6巻

半蔵の門 第6巻