ETV特集 全身漫画家・真説赤塚不二夫論

凄いインタビューだよ。参加人数も相手のバラエティさも。
これを五ヶ月?で制作(企画・取材+編集)するのは相当大変だったと思うのだけれども。
おいらはアニメ「天才バカボン」から入った口で、赤塚不二夫の漫画原作は後追いだった。その印象は面白いけどあまりに強烈・先鋭的すぎて子供心にはそれ以上突っ込もうという気にはならなかった。
たぶんに「おそ松くん」で名作のパロディをやってる方が自分の好みにあっていたのだ。その後松本零士銀河鉄道999」に流れて中学時代には「機動戦士ガンダム」が登場するわけで、自分の中では通過してしまった感があるなあ。
水野英子丸山昭藤子不二雄安孫子素雄)、フジオプロ(高井研一郎古谷三敏北見けんいち長谷邦夫は資料映像からの引用にのみ登場。新しい映像はなし)、武居俊樹(少年サンデー「おそ松くん」元担当記者)、五十嵐隆夫講談社専務・少年マガジン天才バカボン」元担当記者)あたりの発言に結構時間使われている。タモリの話、ケツに火の付いた蝋燭を突っ込んで雪の降った別荘の庭で寒さに耐えてパフォーマンスするあたりが壮絶だった。どこかで以前聞いた話ではあるけど。
あと宮沢章夫の作品分析で使われた資料が非常に懐かしかった。小学生の頃に読んだものだったから。作品世界内で「もしも世界から角(だったか丸だったか)がなくなったら」というネタで一話つくられた「天才バカボン」は非常に面白かった読後感を覚えている。
そういや「天才バカボン」でおいらは「寿司を食べたい」と思うようになったのではなかったか。目玉の警官がエビを食べることに執着するネタがあったように思う。その影響で。
篠原勝之が画面に遠景が登場しないと指摘してるのは、なかなか重要な指摘ではないか。遠景が権力(上から目線/他者疎外視線)を意識させる装置とまで踏み込むあたりが。
最後の最後でみなもと太郎が「赤塚不二夫は最初からずーっと家庭漫画の人です」と述べているのが心に染みた。
なんにしても自分の人生も結構不思議なものだけど、先人というか作品を経由した他人の人生を提示されるのも、それが多かれ少なかれ自分に影響を与えた点を鑑みるに感慨深いものが。