Psalms of Planets Eureka seveN

交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい

諸々の用事があったので会社を(無理矢理)休み新宿に出るということで、ついでにテアトル新宿に出張って鑑賞してきた。
テアトル新宿といえば細田守監督「時をかける少女」を鑑賞した映画館である。この日も一日二回上映だからか、結構混んでいた。
当然ながら大学生と思われる若者主体であった。
作品内容はテレビシリーズとは大幅に登場人物の位置づけが変わっていたものの、陳腐な表現ながら“伝えたい現在を伝える”といった作品に仕上がっていた。
正直な感想を言えば、エウレカが可愛いのですべてよしとするのがよろしい(いや本当に可愛いんだって。


でも、それではあまりにナンだということで何点か。おいらは一応、テレビシリーズは視聴している。
基本「どうしようもないこの世界で、それでも僕等は夢を見る」というラインに集約。
・作品の色調は「機動戦士ガンダム」+「王立宇宙軍」に感じられた。とくにレントンが軍属になってたのは驚いた。それ以上に月光号の面子がアレだったのにはナニだったが。
・映像は文字による説明部分はGAINAX系の流れを意識させられるし、KLFの戦いは独自のセンスであるもののMACROSS系の流れを連想させる。
・物語がかなり強引な進み方をするので、観客の反応としては失笑といった向きになる部分もあるが、描こうとしている必死さと内容の痛ましさがリアルな現在に繋がっていることを突きつけられてると考えるに、そんな斜に構えた反応はできなかった。
・コーダラベルが事態を読み解いていく流れを一方にもってきたのは、結構良かったな。壮大な物語と膨大な設定を咀嚼して提示するのは大変だったのではなかろうか。
エウレカの生体としての寿命を鑑みても、あのラストで良かったのかはちょっと考える。記憶の重要性を説きつつ、レントンの元に残る実体としてのエウレカはそれまでの記憶をさらに別の受容体(地球?)に吸収されて知覚外になっているように見える。
レントン×エウレカ恋物語が翻弄されるのは分かるのだが、個人的にはそこにもっと偏っても良かったのではないかと思う。…それって、長谷川裕一作品になってしまうか? あとアネモネは完全に狂言回しという役割なので、そちらに思い入れのある方には不評かも。お婆さんモードも長いし(CVが榊原良子ゆえそれはそれでOKなのだが。
・魂魄の考え方*1って、エウレカもそうだし、山本弘「アイの物語」*2もそうだし、辺見庸「しのびよる破局*3にも登場する。
・あと青野武の頑固爺台詞が聞けなかったのも心残りか。テレビ版と役割が違うので、やむなしであるが。

*1:肉体は精神の器ではなく、両者ともにわかちがたく人として在ること。

*2:美少女アンドロイドの身体と電脳世界で発生した意識の融合。実体を持つことの衝撃。身体性。

*3:生体として受け入れがたい社会。そのとき精神+肉体である人間はいかに変調するか。