本日の戦果


 ■狼と香辛料 (6) 支倉凍砂 電撃文庫
この作品が意欲的なのは、登場人物が恋愛物語の結末に対してのメタ的視点を保有しているところにあるだろう。
5巻の結末ではそれを突き崩して進む姿を描くことで、何が大事なのかを明確にしていると言える。
アニメ版では地の文で語られてることがほとんど説明されないで話が進むので、かなり疑問符が浮かぶ状態に追い込まれるが、原作の販促だと思えばその目的は達成されている気もする。
結局のところ、おいらの中では男女*1の関係性を物語世界の中で丁寧に描くタイプの作品*2の流れに位置づけて見ることが出来るから、だいぶ受け入れやすいのであろう。
そして登場人物自身が関係性の不安定さを認識しつつも…という展開は、なかなかに興味深いのである。敢えて火中の栗を拾うのも、少女の姿を象った人外であるからとまで言ってしまうと夢も希望もなくなるものであろう。ゆえに寸止めしておくがよろしい。

[追記]
「たわけであっても(怒りこそすれ)愛想をつかさぬ」というのは重要な点だよなあ。
憎みきれないロクデナシ…てか。
まあ、それに付き合ってる人間相手に「君たち(そんなたわけと付き合ってるなんて)優しいね」などと高みから言う輩には立ち入って欲しくはないが。
それでもいつか必ず愛想を尽かされるのだとしたら、それは哀しき宿命なんだろうねえ。独りでできるのはモノローグだからして。

*1:敢えて言うなら少年少女。自分から遠いという意味でのファンタジー的な男女関係。

*2:翔んだカップル」や「めぞん一刻」だとか?