新宿ロフトプラスワン:岡田斗司夫のひとり夜話 第三回

全体の印象としては、理屈の披露というよりかなり感覚的な思いつきの敷衍といった傾向が強かった気がする。とくに後半は、まあそういった考え方も面白いかというレベルなのではなかろうか。内容が抽象的だったからか?


■おしながき
1)恋愛経済学
2)人生の意味


●まくら
岡田斗司夫流の考え方。
トークがうまいと評されるが、分解して考えればシンガーソングライターのようなもの。


 <シンガーソングライター>    <トーク
  作詞               内容    (視点・論理性)    準備すればできる
  作曲               共感    (感情のカミングアウト)真っ先に感じたことを言う勇気
  演奏               テンポ・演出(場数)
表現に関わる行為は同様の区分けが有効かも。
Blogの場合、ネタの選択(見込み・展開)、共感を得るための文章(先に恥をかく。正しいか正しくないかという軸では共感を得られない)、場数とキャラ(9割を捨てることで印象付ける)といった流れ。マンガなども同様の制作課程を経ているはず(作詞がコンテのシナリオ部分、作曲が絵柄、演奏が作画作業か?)。


●恋愛経済学
〜クリスマスまでに友達以上彼女未満をつくろう〜
直近の話題、結婚詐欺事件について考える。
趣味人(オタク)であっても、こうした現実に取り込まれるのはなんで? 家庭に対する幻想。
結婚市場を考える。
女性の理想をレッドオーシャン(競争が厳しい市場)とするなら、趣味人(モテない男市場)はブルーオーシャンか。
35歳以上の男性人口(独身率は30代の数値で推移する。現状43%ほど。) 1870万人 × 0.6 (貯金のあるのは約6割) * 1000万円 (貯金の中央値は880万円くらい。これは60歳以上が貯めこんでいることによる。) = 11兆2200億円の市場。
ここに20-24歳の女子 330万人をぶつけるなら、一人3400万円ほどになる。


最初計算間違いで一人34億円といっていたため、随分と説得力がなくなった。
・独身率が50%をこえると「なんで結婚してるの?」と聞かれるような状態になる。
・そばにいた女性編集者は「3000万円ぽっちで結婚はしない」とドライな意見。
・そもそも不良債権化している結婚のマッチングをどう捉えるのか。
>この時点で、個人的には一婦多夫制を提案してるように見えた。
岡田斗司夫の分析と提案。
・多くの女性が専業主婦願望があるものと仮定。
・浪漫的彼女は20世紀の幻想とする(愛する気持ちがあればとか、共に苦労を分かち合うとか、実利を伴わない考え方)。
彼女とは金を出して付き合うもの!
一般的な恋愛を市場としてみるなら、「女性の市場価値 = 男性の市場価値 + 金」になる。
男は騎士(ナイト)として、金目当ての女性を引き受ける。この場合の「金」は、逃げ場を提供するという行為と置換可能。
●女性の市場価値
・年齢
・見た目
・提供サービス(食事やSex含む)
・ブランド(女子高生だとか女子アナなど)
●男性の市場価値
・提供環境(住居)
・見た目
・コミュニケーションサービス(面白い話をする、聞き役として優れている)
・ブランド(お笑いタレント)
市場価値に差があれば、間を埋めるのはお金になる。
あくまで恋愛市場における見方であることに注意。それぞれのパラメータは中古車市場でどういった車を選択するのかと同じ視点である。
岡田斗司夫はこうした価値観での相互扶助、擬似家族を、騎士(ナイト)とメイト(被保護者)というネーミングで表現。
金のあるオタクには「女の子の居場所になろう!」と「(少年サンデーのラブコメもののように)寸止めマンガのような環境を目指そう!」と呼びかける。
>個人的には女性をたらしこんだ宗教家イメージだよなあ。以前、事件にならなかったっけ?
それはともかく、恋愛定義を転換すべき。
バブル期に流行った気持ち至上主義はやめて、利益の移動は当たり前の考え方でいったらどうか。
▼男性視点での3つの在り方

1)第一種ナイト
 ●ロイヤリティ(専属契約)…有
 ●Sex…有
 ●支払い…大
 PartnerとMaidの中間の間柄。
2)第二種ナイト
 ●ロイヤリティ(専属契約)…無
 ●Sex…おそらく有
 ●支払い…中
 御主人様とペットの間柄。互いに行動を束縛しない。
3)第三種ナイト
 ●ロイヤリティ(専属契約)…? 複数アリ
 ●Sex…無
 ●支払い…小
 父母と息子・娘の関係。養父母? 独り立ちするまでの関係?
ともかく考え方として、現実は現実として受け入れた上で、シンドイのは避ける。
男女間のバランスをとってよりよい関係を構築する方向で。
たとえば女性の社会進出を“常に”歓迎する風潮もどうかと思う。
時代・世代・土地柄・能力・運・年齢によって、女性の生き方というのは千差万別であろう。フレキシブルな仕組みであった方がよいのでは?
女性側の市場価値低下にはどんな生き方があるか。>夏目漱石「坊ちゃん」に出てくるキヨ。“ばあや”という位置づけは? 熟女ブームだし(笑。
若い男の世話をする母親のような存在というのもアリではないか。
今のまま(男女関係?)では平行線というか不良債権化というか、互いに不幸なのでは。フェミニストや同性愛といった狭い考え方ではなく、擬似家族といったフレームを導入して多様性を、少なくともその余地を確保する方向が望ましい。


●人生の意味
岡田斗司夫が現時点で考える人生の意味について:岡田斗司夫パブリックドメイン化〜
背後には小飼弾やらリチャード・ドーキンスやらの著作があるようだが、当人の意識としては以下のように変容したのだとか。
(以前)岡田斗司夫から観客への情報伝達。送り手/受け手の考え方。
(昨今)岡田斗司夫は情報の結節点(ノード)。
CMを公募して採用した作品が最優秀賞かなにかに輝いた事例。既に相手にしているのはConsumerではなくPartner。
メモにはさらに
1)中身と動機
2)実利
3)遊び
とあるが、何のことだか忘れた。
ともあれ「人間はメディアである」と考える。
何かを伝えるために人に寄生するウィルスのようなものが人の意識。
情報/状態/関係で表すことができる擬似生命体。これが寄り集まって文明を構成?
岸田秀:人間は本能の壊れた動物 > これ違うんじゃないか。
生物としての人+文明=>人間
生きたい、増えたい>文明、価値観の伝播。
仮説:生物としての人はハードウェアで、関係性こそが本質?
バックミンスター・フラーの張力構造(テンセグリティ構造)に相似。
物質に中心はなく、力と関係のみ。質量(引っ張る力)とスピン(回転方向)。周囲空間との関係。
我思うけれども我なし。
人としての本質などはない。仕組みだけがある。
文明を構成する価値観が上部構造にあって、人の意識はその下に集う伝達素子だと考える。
D&D的にはPortfolioを所持するDeityが価値観に当たり、司祭や信者がまさに人々という構造と一緒か。
グーテンベルク活版印刷による書籍の普及が、個人個人の意識内に様々な価値の並存を促し価値観のシェア争いになったがゆえに、以後の戦争は個体数の増減による価値観の栄枯盛衰といったものではなくなる。
人間が上位構造(価値観)に隷属しているがゆえに、個人個人の幸せとは無関係。
この仕組みで考えるなら、個々人の幸せはその機能である“伝える”という行為にある。人の意識が伝えるメディア・媒体であるからには。
DNAのA:アデニン,G:グアニン,C:シトシン,T:チミンを引合に出し、以前岡田斗司夫が提唱していた「人生の取扱説明書」で取り上げていた4つの人間類型に言及。
http://www.netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/priodical/torisetsu/index.html
「王様」タイプ>目立て
「軍人」タイプ>勝て
「職人」タイプ>純化
「学者」タイプ>守れ
前者2つは価値観の攻撃、後者は防御と考えられる。
人口爆発しているうちはジーン(遺伝子側)の影響が強く、人口頭打ちのときはミーム(情報遺伝子)側の影響が強くなる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B9
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1310583598
伝達を細分化するなら
・受け取る
・考える
・真似する
・伝える
という4つのパートに分かれる。対する概念は孤独, 無理解。これは死と同義。
提案としては、意識の受容体たる生物としての人・身体を大事に。元気とか健康。
そしてBlogを書こう!
情報の伝達は人として自然なこと。その情報の提示の仕方は、ショップでの棚作りのようなもので、そこに個性が表れる。
一番よい伝達方法は習慣になるような行動。
朝ごはんをちゃんと食べる、家の前を掃く、挨拶する、などの習慣が、他人に心地よく受け入れられ伝わっていくならば、それは意味のあること。
>嫌なものを受け取ったら?
>メディアとして生きるなら、自分の中の伝達状況を俯瞰して楽しむしかないのでは?
まだまとめていない部分も多い。
たとえば評判のバランスシート(貸借対照表)の素案をノートに記載したものを見せる。
貸し方・借り方が良い評判・悪い評判に対応している。
Blogについては、何かを記録する(レコード)、評価する(採点)、その理由をみつける、何か面白い説明を構築するという流れ。
あと岡田斗司夫の考え方の基本は、限界ラインを提示して、幸せになれるラインを模索するというもの。


質疑応答では、「みんなで構築する岡田斗司夫」というスタンスで、質問を聞き手に「その件は君が考えてくれ」と返していたのが印象に残った。
子供を残すのも情報伝達の一環だとか、前述の恋愛経済学に登場する恋愛という単語はもはや意味合いが違うので別の言葉を探した方がよいだとか。そんな話も出ていた。