ふたりの距離の概算
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/26
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 134回
- この商品を含むブログ (129件) を見る
対人関係の距離感というのは非常に重要なファクターではある。
それなりの強度のある集団では緊密であった方がいいであろうし、距離感を感じさせない付き合いは物事を円滑に進めるであろう。
一方で、近距離を苦手とする負担とする面もないとはいえない。少なくともおいらはそうだ。
また近距離になってみたら意外とズボラで幻滅したとか、結婚したら内実がバレて成田離婚に移行するという話もあるだろう。
いや米澤穂信が意図しているのはそういった話ではなく、小市民シリーズで「主人公たちは自分たちを小市民であろうと考えているが、それは奢った考え方であろう」といった趣
旨の発言をどこかで読んだ記憶があるように、本書後半で奉太郎が述べているように「外の問題」をいかように考えてゆくか、なのかもしれない。備えよ常に。
セカイ系と書くと閉じた世界の中で完結する御話といった意味合いになるらしいが、つまりは学校内で完結するなら異世界や伝奇展開が待ち受けていても(いやそれゆえに)セ
カイ系と記すようだが、その反動が底流にある大筋の流れの上にもあるようなないような。
どちらにせよおいらは、ルイ・ペルゴー「わんぱく戦争」の序文のような心構えの作品であるなら、何でも歓迎なのである。脱線にて終了。