山尾悠子「歪み真珠」

歪み真珠

歪み真珠

読了。
どんな特殊に見える事情も、扱う当人にしてみれば普通のしがらみに違いない。
語られるにつれ人でないものが浮かび上がったり、あろうはずのない光景が立ち上がったりするものの、あまりそういったことは関係ないのであった。むしろ言葉の織り成す調子としてはこれ以上ないくらいに調律されているように思えるのである。
それはそれとして、個人的には女性の業が織り込まれているように見える点、相応に構えてしまうものがある。目を逸らしつつも指の間から男のイチモツを確認するうら若き乙女のように楽しみつつも、「水源地まで」くらいの距離感で勘弁してもらいたいなあ…などと回避を試みる次第なのであった。初見の印象としては。