ヒックとドラゴン:ユナイテッドシネマ豊島園

ヒックとドラゴン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]

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「大空を飛ぶことは何よりも素晴らしい…」と言ったのは森本レオだったか(正確には森本レオ演じるシロツグ・ラーダットだったか。
そこでドラゴンに騎乗して空を飛ぼうというわけですよ。この際、原作は考えるな。
すべてがそこから始まっているので、骨組みは簡単かつシンプルに。
バイキングはドラゴンと戦っている。ドラゴンはバイキングの家畜を襲って巣に持ち帰る。バイキングはそれを防ぐ。できればドラゴンの巣を突き止めて根絶やしにしたいと思ってる。実にシンプル。
長い長い戦いがあったと思いねえ。いや狩る狩られるのバランスがどうこうは考えない。
大人バイキングは子供たちをドラゴンを殺すための訓練によって、ドラゴン殲滅集団バイキングの一員に迎え入れることで成人としている。
そこで賢いけれど敵を殺すのが嫌いな、同族の中で浮いた存在である異端のドラゴンと異端のバイキング(正確には頭の跡取り息子)が出会って、今までの闘争関係から共存関係への希望が育まれたとしたら。
佐藤哲也氏によれば猫の動きによって親近感を抱くよう演出されたNight Fury TypeのDragon“トゥース”はあまりドラゴンらしく見えない。
ただその飛翔する姿は実にシャープで美しい。
そして序盤墜落によって尾翼の片側を失ったトゥースが、主人公ヒックの工夫によって騎乗飛行をするまであんなに大変だったのに、物語後半鞍と鐙なしに仲間が騎乗戦闘しているあたりもツッコミ不要である。話はテンポ良く。それでこそ飛翔する姿が際立つというもの。
あと「エリア88」じゃないんだから、ブラックアウト/レッドアウトも必要なし。これでいいのだ。
最後に“トゥース”の尾翼とヒックの片足が同じ状態になるという、実に構造的には正しい対応のさせ方をしている。
やっぱね、Strike Witchesの構造的な限界はこの作品観ると如実に感じるよね。「人はパンツのみに惹かれるにあらず」だからな。*1
それはおいといて、ラストステージでのストイック(バイキングの頭)とゲップ(鍛冶屋でストイックの親友。片腕片足が義手義足)の掛け合いも実にD&Dっぽくて好きである。
こんな痛快至極な(ちょっぴり挫けた男の子の後押しをしてくれるしっかり者の女の子まで登場する)作品であったとは。ちょっと気づくのが遅かったよ。
とりあえずD&Dセッションもこれくらいの展開をイメージできたらいいのだけどね。なかなか難しいか。
結局のところ、PlayerをどれだけDMの描いているイメージに引きずり込めるかという点で評価するにはゲーム性が強いし、背景世界に依存する構造なのであろう。


次は3Dで鑑賞したいが…どこかでやっているかな。
[追記]
話の中で出てくるドラゴン図鑑が秀逸であった。あれ欲しくなるよなー。

*1:SW2の尻回や魔女多段ロケット回は素晴らしかったが…だがしかし、なのだ。この心情が分からんと話にならんのだ。