Setting the Bar (Legends and Lore), Mike Meals


我輩はMike Mealsである。
D&D Research and DevelopmentチームでRPG Group Managerをつとめている。
D&Dの歴史において--ゲームがどのような変化を遂げて将来的にどういったところを目指すのか--色々な話題について書き記した週間コラムであるLegends & Loreにようこそ。
我輩がやりたいことは世界中のD&Dプレイヤーに様々な話題や疑問を提供することだ。なぜなら、我輩の本当の目的は貴殿がD&Dについて何を考えているのか理解することだからだ。
我輩がそれを知ることができたなら、このゲームをよりよく理解できることとなるであろう。
過去数週間にわたってモジュールに焦点を当てたD&Dへのアプローチについて話してきた。
プレイヤーとDMは難易度にあわせてオプションを選択できる。ゲームに加えるサブシステムとしてオプションの取捨選択かまたは特定のルールを採用/非採用によって。
DMは戦闘重視のキャンペーンで詳細なTactical Combatシステムを使うことも出来る。
プレイヤーは多くのFeatやClass Featureの選択によって自分のFighterを最適化することが出来る。一方でそれらがあらかじめ決められたコアキャラクターを選択することも出来る。
それらのオプションすべてが素晴らしいものに見えるかもしれないが、答えが出ていない重要な問題がある。
これらのダイヤル、スイッチ、つまみすべてが、ゲームを本当に正しく機能させていると思っているか?
キャラクタに新しいオプションや能力を与えればより彼らが強力になるというのは理に適っている。
一方で、それぞれの異なるルールを使うことにしてもD&Dの範疇から外れることなくあるという、D&Dの基本的な理念についてはどのように考えているのか?


■Game Balance through Superior Firepower [優勢な火力を通してのゲームバランス]
最初に(ゲーム)バランスの概念とどのように難易度設定するかについて取り組もう。
もちろんそれは大きな疑問を引き起こす。「D&Dにとってバランスとは何か?」


R&D*1にとって、バランスとは2つの意味がある。


プレイヤーにとっては、ClassやRaceに関わらず同じレベルのキャラクタは同等の能力が与えていることを意味している。
FighterとBarbarianは同じ武器をもって戦うことを得意としているので能力がかぶっているかもしれない。そこにもまた相違はあるだろう。
FighterはRogueよりもHPが多いが、Rogueはピンピンした敵からこっそり逃げたり、罠を外したり、Monsterに忍び寄ったりできる。
Fighterはいくつかの点でRogueより優れているかもしれないが、結局2つのClassはともに冒険に貢献できるように感じられる。


DMにとってのバランスとは、DMがMonsterや罠や他の障害についての難易度をちゃんと見積もれるかどうかということを意味している。
システムはDMに冒険者たち(キャラクタたち)とグリーンドラゴンの比較を可能にしている。死力を尽くした戦い、冒険者たちを痛めつけるも死には至らない戦いなのか、または楽勝なのか、その判断ができる。
DMは冒険者たち(キャラクタたち)に対してしたいことなら何でもダイスを振って決めることができる。ランダムエンカウンターでダイスを振る場合でも、詳細で非常に注意深い計画を立てた上でのことであろうとも。しかしながら、ルールは冒険者とその障害を比較する基準(ベンチマーク)を与えてくれる。


この点を考慮して、バランスに関する質問の簡単な答えとしては、キャラクタのパワーがそのレベルに基づくように設定された状態で、1つのスケールにすべての要素を集約することだ。
言い換えれば、キャラクタのパワーはプレイヤーが選択するルールのモジュールによっては決して変化しないということだ。


あけすけに言えば、これは片手落ちの解決である。
プレイヤーは実入りのないカスタム(キャラクタの作り込み)に対する多くの選択肢を、単調な作業と捉えるだろう。
また、キャラクタのパワーに依拠したキャンペーンのフレーバーにも悪影響を与える。
結局、(ゲーム的に)実益のない(キャラクタの)変化・変更の問題は、プレイヤーにもDMにも影響を与える。
効率化されたキャラクタに満足しているがいくつかの汎用的なパワーをオプションとして取り込むことで活性化したいグループは、最適化と戦闘能力に注力することを望むグループとして、同じルール群(ルールモジュール)を使うことを我慢している。


代わりに、以下のような世界を想像しよう。
コアクラスというもの。Basic D&DAD&Dの時代からしばしば登場するクラスに似ているもの。(例としては、ずっと使い続けているFighterなど)
そのFighterは攻撃が当たりやすくなり、攻撃回数も増え、HPも着実に上昇する。
これこそがD&D Fighterの礎なのだ。


さて、とあるグループがFighterに対してより多くの戦術オプション(Tactical Options)を望んでるとしよう。
彼らは4版スタイルの機動を取り込みたいと思っている。
そのサブシステムを追加すれば、Fighterはより強力になる。


もしグループがClass間のパワーバランスを保ちたいなら、それぞれのClassもまた強化できるルール群(ルールモジュール)を採用すべきだ。
(Wizardはより多くの呪文を、ClericはDomainにアクセスする能力を、RogueはFigherのような機動か、手妻[trick]か、スタント[離れ業]システムを)
DMは自分でルールをピックアップするかもしれないし、各々のプレイヤーに好みのオプションルールを選択するように提示するかもしれない。
キャラクタはすべて何らかを獲得している。言うなれば「似たような1つのパワー」を得たことになる。
ではこれを「1つのパワーユニット(one unit of power)」と呼ぶことにしよう。


聞けばDMはキャンペーンの難易度を上げるのに、よりタフなMonsterを投入するか敵の数を増やすことで対応しているとか。
俯瞰してみれば、DMは冒険者たちをあたかも通常より強力であるかのように取り扱っている。
4版の概念では、DMは冒険を組立てるXP予算がより膨大になることを意味している。
3版の概念では、Encounter Levelが上昇する。
もしDMが同じ(キャラクタの)成長速度を維持したいなら、レベル上昇のためにより多くのXPを得る必要があると告げることになる。


設計(design)上、それぞれのオプションルールは他のオプションルールに対してバランスをとる必要がある。
思いつきでいいなら、いろいろなオプションを加えることで難易度が変動しても気にしない。何度も同じオプションが選択されても許容される。
たとえばFighterがAction Pointが使えて機動(maneuver)が使えるというものであったり、DMもFeatルールを使えるがキャラクタには2倍のFeatを与えたり…などだ。
こぅいったケースでは、キャラクタたちは2つのパワーユニットを受け取っている。


もし思いつきでないなら、いくつかのオプションは基本となるものより2倍か3倍も強力ということになる。
3版のUnearthed Arcanaに登場するGestaltキャラクタルールなどは、3倍のパワーユニットの価値があるかもしれない。


このようなアプローチで、DMはいつもと違った感覚であったりプレイヤーたちが望むことのうち具体的な物事に焦点を当てたキャンペーンを生み出すことができた。もし反対の状況を望むなら、より弱体化した冒険者たちのゲームでさえ、ガイドラインにあるXPを減らしてキャラクタのパワーレベルを減少させれば実現することができる。


これらの変更が戦闘におけるキャラクタのパワーに終始している点を心に留め置くこと。
ロールプレイや探検やパズルの要素など他の活動については、DMは様々な障害として配置するのに遙かに自由な権限を持っている。
もちろん、正式なSocial Combatシステムは、これをDMがオプションルールとして採用しキャラクタが適切な行動をとるなら、XPを提供されるやもしれず。


他のオプションルールについてはXPを獲得するようなものはないであろう。[Other optional rules would be XP neutral]
コアファイター(core fighter)に立ち戻ると、もし彼がハイレベルで城と従者があっても、Classの戦闘能力には影響がないであろう。
DMはゲームにこれらの要素のルールを加えるとき、XPチャートには影響がない。
従者や城の兵士を維持するのに、Fighterの所持金には影響があるかもしれない。
彼らを冒険に連れて行くことは、農民一揆を引き起こしたり、裏切りが起こるかもしれない。
一方で、反対のアプローチをして、1つのパワーユニットを消費することでバランスをとることができる。
おそらく、ルール群(ルールモジュール)が両方のオプションを含むもので、DMは如何にして称号や領地を与えるか冒険の状況を見て決めていた。


こうしたすべてのことを踏まえて、キャラクタとMonsterとのバランスについて悩まないDMは即座に対応した。
収入のあるハイレベルのFighterは冒険において部下を雇用することができた。
DMは単にダイスを振る。
兵士や従者が戦闘で失われる可能性があることはpenaltyとして十分で、もし冒険がより簡単になる場合はそれはゲームの一部にすぎない。


(ここで力尽きた)

*1:なんでR&D? ミスタイプ?