仮面ライダー青春譜

読了。
漫棚通信ブログ版をあわせて参照するとなお楽しい。


個人的には坂口尚松本零士の若い頃、石森章太郎の人となりが伝わってくるのが嬉しかった。
宮谷一彦については夏目房之介氏の文章に触れるまで全然知らなかったからなあ。
あと河あきらなんて久しぶりに目にしたよ。「いらかの波」は結構好きだった。


ともかく非常に楽しく読めました。
しかしながら著者の「マンガは現在黄昏の時代にあるのではないか」という暗い確信については、もはやマンガだけではない昨今の状況をみるにつけ、どこかで底をうつまではこのまま沈殿していくのだろうそれまでどれだけ何が残るのだろうとぼんやり思うのみである。
漫画家と編集者の蜜月時代を回顧できるのはそれはそれで幸せなことだけど、どうしてこうなったという思いを持ちつつも残り少ない人生を生きるというのが老いるってことなのかなとも思う。
作中から引用するなら“「マンガは文化だ」とマンガ家や編集者自身が口にするようになったあたりから、マンガの凋落がはじまったような気がしているのだが、そんなことを思うのはぼくだけだろうか”という述懐(p190)が歴史ってこういうもんなんだなという諦観というよりは認識そのものといった読後感を残すのであった。
あと雑誌COMの話もそうだけど結婚の話もさらりと書かれていて(p316)、どういった経緯で誰と一緒になったのかも分からないのはちょっと面白いかも。取捨選択とか。そんなこんな。