ハウルの動く城

というわけで、「ハウルの動く城」を池袋で見てきた。
まず最初に書いておくと、ハウルは基本的にSorcererだと思われる。
使ったSpellはFly, Invisibility, Polymorphといったところか。
Fiendish Fire Elemental(?)と思しきものと契約を結んでおり、城の扉はGateまたはPortalとして様々な場所に通じている。
あとは室内の家具をそろえたりしているので、Major Creationとかも使えるとみて間違いない。これらのSpellを呪文書で準備している光景は描かれていない。また、自身の容貌について拘っているところも、かのもののClassを証明しているのではないか。


それはともかく、さすがにスタジオジブリ作品である。
ヒロインであるソフィの住む街を非常に詳細に描き出している。また街の外に広がる世界や自然についても、ここまでかというくらい描かれている。
今年の春に欧州を旅行したが、そのとき歩いたプラハ錬金術小道などを思い出してしまった。
それもそのはずで、映画館で購入したプログラムの制作ノートによると、実際に欧州のアルザス地方にロケに行くのは当然として、あらゆる音にこだわりをもって(金と時間も当然かけて)これを構成していったようだ。
「キャラクタが立つ」とか言うけれど、これは「第一次大戦前後の欧州の街をモデルとした、魔法と共存している架空の街を立たせた」といった感じである。


で、肝心の内容であるが、色々な落としどころがある中で無難にまとまっていたように思う。
多分に唐突で安直な案山子の謎の解明とか、サリマンが戦争中止を決める場面の狂言回しっぷりとか、何もないわけじゃないがそれはまあ許せる範囲であろう。
なぜなら、この作品はソフィの物語であり、それ以外のものではないから。
ホテルニューハンプシャーの「人生はおとぎ話よ」という、あの最強の煙幕台詞を個人的には最後に付け加えたかったものだが。まあ、よし。
それにしても、宮崎作品はどこまでいっても少女の心を持つものが本当に強く凛々しく美しい。
少年の心を持つものは、それを糧にどこまでも世知辛いこの世の中を生きていくしかないのであろうか。まあ、多分。(上遠野浩平のあとがき風)