BSマンガ夜話 伊藤潤二「富江」

私も怖いモノ系は駄目なのである。とくに楳図かずお系は天敵だ。
なので、もっぱらアシスタントの笹峯あいさんの表情に注目していた。
と思ったら、いしかわじゅん氏、岡田斗司夫氏、夏目房之介氏、それぞれの「俺の褒め方が一番だぜ」という張り合い(?)が微妙な不協和音をかもし出して、そちらの方がとても楽しめた。
才能ある作家が、その内面の過剰性により作品を構築しているという立場も、それを踏まえつつ過剰さを意図的に演出しようとしている立場も、ともかく際立った点に着目すれば非常に楽しめるのだとする立場も、まあ良いのではないだろうか。
ゲスト夢枕獏氏の「怖いよりも絵的に気持ち悪いもの」という言葉が印象に残った。
夜中に一人で怖いシーンを思い出して身震いする類の恐怖は、勘弁してほしいものだ。
岡田斗司夫氏はそういう感覚を30代でなくしてしまったというけど、そういう感覚はふとしたきっかけでリアルに感じられるものだと思うがなあ。
なので、この作品に手を出すことは、いくらB級作品をリスペクトしてるからってないだろう。


[追記]
岡田斗司夫氏が「ハウルの動く城」を見た感想を少し述べていた。
「最初の1時間は素晴らしい…が、後はちょっと」というようなことを言っていたが、その気持ちはよく分かる。あのラストの強引さは「どうよ?」というのもあるだろう。突っ込み所も結構あるし。
でもまあ、「人生はおとぎ話よ」と締めくくった「ホテルニューハンプシャー」を思い起こすくらいの余裕があれば問題ないだろう。たぶん。