Black Lagoon

サンデーGXに掲載されているインタヴュー記事「ヘタレの地平線」を読んでから本作7話目「Calm Down, Two Men」を鑑賞すると、なかなかに感慨深いものがある。
これはHappy EndやLove Comedy、Musicalなど、明るく楽しい作品の真逆を行くことに全力をかけている作品であり、言ってみればそこにこそリアルがあるということなのだろう。確かに作品内での銃器の描かれ方は人殺しの武器としてのものであり、映像としての品質(品位)は保ちつつも、どうしようもない冷たさと乾いた死のイメージが広がっている。
私がギリギリの線でラヴコメや逃避や妄想を選択するのと同様に(?)、彼らもifのあり得ない世界で現在に苛立ちを覚えつつも血みどろ上等で生きていく姿を描く選択をしているに違いない、とか何とか思ったりもする。
それにしてもエロビデオ(商品)のチェックをしなければならないバラライカ小山茉美)がいい。
「もう死にたいわ」
冷酷鉄血ロシアンマフィアの女ボスが気の抜けた声で、こんな台詞を吐くシーンが全体から見るといい箸休めになっている。
後はコミック原作の流れをよく再現しているものだと思う。
まさにコマとコマの間の心の動き(というより身体の動き?)を補完することで、視聴者のイメージをより深く浸透させる効果が現れているのではないか。個々の表現に対するこだわりが与える印象を深める、といった趣。実に奥が深い。
ただやっぱり広江礼威作品としては「Shock Up」や「翡翠峡奇譚」あたりも忘れて欲しくはないのである。