EDEN

アフタヌーン掲載のEDEN(遠藤浩輝)は、普遍的な問題を扱っているという意味で重要だ。
話の流れや登場人物の生き死にも心動かされず、最後に問題意識が浮かび上がってくるのが、こうした作品の特徴か。
私のスタンスでは、距離を置いて眺める作品であって、踏み込んでいくタイプの作品ではないのは確かだ。が、「大蟻食の亭主の繰言」の中でも取り上げられていたので、とりあえず追走するように話の流れを追ってはいた。
そしてまあ、以下の言葉に出会えただけでも、めっけものだと思うのだ。
「世界の残酷さに耐えられず、社会の中で幸福を得られず、神様を信じることもできずに、無駄死にしていく者たちの魂をどうやって救う?」
共同体が目指すのは不慮の死を抑止することだと誰かが言っていた。
人生設計が描ける社会ってのは、そういう社会だ。
だが、社会がいかに充実しようとも、問題は問題として個人に突きつけられる。
そして問題を押し広げていくと、上記の疑問にたどり着く。
問題は一見して既知で理論としては知られたものであるとの指摘があるにせよ、作品を通してきちんと表現されているといった点がより重要なのである。それは一歩間違うと己の問題意識と融合してしまう可能性もあるが、まあこのへんは「Comicですから」と逃げておくのが得策であろうか。
ともあれ、「宇宙の魂」云々はともかく、こうした基本的な問題を抱えているってことを指摘する作品があるってことは、当該ジャンルの表現形態は豊かなものであると言っていいのではなかろうか。ああ、歯切れが悪い。
…ちょっと煮詰まり気味の文章って感じ? まあ、許されたし。