ナポレオン 長谷川哲也

ナポレオン軍が捨て奸(すてがまり)!
思わずそんな感想。
いや捨て奸(すてがまり)ってのは、関が原の戦いで島津が有名な敵中突破退却をやらかしたときに、敵の足止めをした戦法のことだ。
それは本隊脱出のために少数の兵隊が、全滅するまで敵を足止めするという苛烈にして単純な戦術なのである。
おいらが雑誌のイラストで見たときは、火縄銃を抱えた足軽が(退却するあてがないため)胡坐を組んで座り込んで追っ手に対峙している場面が印象に残った。
そして今回のナポレオンである。
挟撃されたフランス軍は、オージュロー軍が敵を食い止めている間に、マッセナ軍が一方の敵を叩きのめして返す刀でもう一方の敵を叩き潰すという作戦に出た。
つまり、オージュロー軍が持ちこたえないと話にならんわけだが、当然敵も戦況は分かっているゆえ容赦ない攻撃を仕掛けてくる。
で、オージュロー軍の兵士がとった行動が、座り込んでの座射。次々と座り込んで座射。もう漢なら座り込んで胡坐をかけ、しかる後に死ぬまで小銃を撃て! と言わんばかり。
なんかナポレオン軍に島津の心意気を見ちまったよ…。