へうげもの

読み始める。意識のレイヤー構造が面白い。
古田織部は立身出世を志向しつつも、羽柴秀吉明智光秀の領域にはいないため、彼らの持っている洞察には及ばない。
それは数奇者としても同様で、武と数奇のどっちつかずの状況を武と割り切りつつも、実際はそう簡単にいかぬ心情・実情を繰り広げる。
だが及ばないがゆえに素直・率直といった様が、幸せに描かれてもいるとも思う。まあ奥さんがデキタ人というのが一番大きいか。
時代を背負ったりジャンルを担ったり業による妄執をにおわせたり、それはそれでシンドイことなので、古田織部視点という軽妙さが欲しかったのかとも。
仁科盛信口説き落としに行く場面なぞが真骨頂か。いや戦場で未通なまま果てるのが無念なので抱いてくれという奥方に数奇者らしい啖呵を切ったにもかかわらず…という展開は凄い描き方だよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E5%BE%81%E4%BC%90
今は本能寺に向かうあたりを読み進めているが、著者が積み上げる本能寺の真実は非常に説得力があって、とくに秀吉や秀長の描き方が新鮮でたまらない。