新宿ロフトプラスワン:岡田斗司夫のひとり夜話 第四回

2010年1月の「ひとり夜話」はD&D Game Sessionと重なるために参加できない。
まあ2009年分はすべて参加したので、よしとせねばなるまいか。
しっかし役立つ知識や考え方の伝播よりも、単純に波乱万丈有為転変の個人史を聞いてる方が精神衛生上よろしい感じだ。


■おしながき
1)本棚について
2)ゲームについて
3)ノート術について


●本棚について
雑誌BRUTUS 677 "本が人をつくる"特集で、岡田斗司夫が取り上げられた件につき、色々と語ったけど「本棚ダイエット」といった流れでまとめられてしまったとのこと。
書籍との出会いと別れを女性との出会いと別れになぞらえたり、書籍を「購入(お金)+読書(時間)」を消費するものと捉えて積読を負債と考えたり、書店での立ち読みを推奨したり、いろいろと都合の悪い話はなかったことに。
そうはいっても現在の岡田斗司夫はそれでも日に2、3冊の書籍を読み、月に100冊ほど購入しているのだとか。Amazonも結構利用している。
しかし雑誌に掲載したように、以前は最高37000冊の書籍を保有していたのを、計1000冊に落とし込み、購入したら既存のものを手放すといった形で管理しているのだそうだ。
岡田氏の実家は大阪で縫製の工場を切り盛りしていたらしく、何人もの人を雇う関係であちこちに物件を抱えていた。
自転車操業ゆえ貧乏だった岡田家で斗司夫少年は子供部屋などもらえるわけもなく、家の廊下の隅を己の領土としていたようだ。景気がよくなってきた流れで誕生祝い(だったかな?)で買ってもらった、当時流行りであった平凡社の百科事典[本棚付きで10万円?]とともに幼少期を過ごしたようだ。
長じるに、岡田斗司夫とその姉は「自分の部屋」を両親からもらう。
それはあちこちにあった社員寮や工場用におさえていた物件らしく、一軒家であった。
なんでも10m×9mの間取りで、真ん中で割ってだいたい47㎡のだだっ広い空間が手に入れたのだ。
岡田氏は端っこにベッドを置き、残りの空間を図書館のような本棚を入れて17000冊くらいの本を収納できるようにしたという。業務用エアコンをきかせ好きな本に囲まれて、ひとりベッドで本を読む楽しみを10代のうちに体験していたらしい。一方でお姉さんは部屋の真ん中に巨大なブランコ(アルプスの少女ハイジのOPのようなものと思われる)を配置したらしい。姉弟そろって両親からキチガイ部屋と呼ばれていたとか。
蔵書が増えたのは、ガイナックス王立宇宙軍を制作していたときで、ひとつの世界をまるごとつくるということをしたために会社の資料として購入した書籍まで溢れる状態だったとか。ともかく保有する書籍が大変なことになったので、近くにアパートを借り、8畳と6畳に目いっぱい本を詰め込んだものの、利用したのは年に数回だったという。しかも階下から天上がたわんでると苦情が来たようだ。
このような体験から、書籍への対応フローを自分の内部に構築することに。


=====> 読まない ======> 読まない(死蔵)/購入後30日経っても読まなければ処分
| |
書籍との出会い ====>※判断:購入(持ち帰る)======> 読む ===== 1) 手放す(売却)
| 2) 使う (日常的に参照する。グルメガイドとか)
=====> 読む(立ち読み) 3) 見せる(陳列用本棚への格納候補。本棚で表現)
4) 思い出(写真を撮ってアルバム作成)
読了した書籍を如何に考えるか。
結局のところ思い出であるなら、アルバムに写真として残ればよい。またミニランドセルを作成するがごとく豆本としてマテリアル化してもよい。
また画像データによる管理が現実的か。
岡田斗司夫の本棚は「読書用」ビジネス書など300冊ほど、「陳列用」少年サンデーや横尾忠則の関わった少年マガジンなど200冊?くらい、そして「保存用」SF古典小説などが500冊あたりだと思われる。
ざっと見るに、いわゆる小説などの書籍は保存用であって、SFマガジン掲載の作家や評論家の作品は追っているわけではなさそうなところが気になった。文学系や思想系の書籍を元に何かを語るのはある意味滑稽なものであろうけど、まあそれはそれでひとつの流れではあると思う。単にそういったポジショニングにはいないから、本棚の中身もそれを反映しているのであろうか。
以下、メモ。
AmazonなどのNetは出会い系。高い評価は著者自身や編集が書き込んでるヤラセで当てにならず。
・雑誌は最悪目次があれば入手できる。
・そういや「ドラえもん」でアイテムを写真化して好きなときに立体に戻せるのってなかったっけ?


●ゲームについて
岡田斗司夫の思い出のゲームは「夢幻の心臓」と聞いた時点で笑ってしまった。
いや当時のパソコン雑誌に取り上げられていた映像を思い出したからだ。
ドラクエの元ネタと位置づけていたけど、当然ウルティマなんぞにまで遡る重要な基点といった扱いなんだろう。
それにしても当時は市販ゲームの本数も限られていたし、追うのはそれほど困難ではなかった。ジャンルの勃興期にあって、ビジネスとしては「?」なところは多々あったものの、混沌とした楽しさと片隅で好きなことをやってる面白さが共存してた気がする。
おいらは1985年くらいにPC-9801を購入して確か「大戦略信長の野望三国志」「Wizardry」あたりから入ったのだったか。
その後普通にPCX系にも手を出してるが、未熟な世界が急速に整備されてメーカーや雑誌が様々な立ち位置を確保していく流れを眺めているのも、それはそれで興味深かった。
ある線を越えて以降は、ほとんどがもはや単なる普通の企業の商品といった臭いしかしなくなったりするのであるが。
そういや昔やったゲームで、学校の運動部や文化部に所属する女子生徒を配下にして戦う結構チープなシミュレーションゲームがあったと思うのだが、あれはなんていうタイトルだったろうか。プログラムがバグってたか何かで投書したら開発者の方から丁寧な返信をもらった記憶がある。
それはそれとして、岡田斗司夫が最近ゲームをやらなくなったというのは、己の感情移入力の強さに原因があるらしい。
マリオをやっていて操作に失敗したとき、マリオが画面外に落下していくのさえ恐怖を感じるというのだ。通常はゲームだからとブロックすべきところも、感受性豊かな人間にとっては恐怖やトラウマとなって残ることもあるであろう。
そこで岡田斗司夫が取り上げたエピソードは、10年ほど前にやった「どこでもいっしょ」という話。


●ノート術について
ノート術へと至る道程
・メモをとらない(スケジュール帳)
・システム手帳(ミッションステートメントなど)
ガイナックス退社前後にカウンセリング代わりに
・何でも書く
・ノートの大きさ、色、素材、いろいろ試す
・B5ノートに統一
あと情報カードも試したが、考えの順序が分からなくなるのでやめた。


※基本構成
>ノートの左ページ:図解、連想。駄洒落。決め台詞。“面白さ”
>ノートの右ページ:考え方、論理。“考え”
※効能
やりたいことやれる
悩まない(ノートに書いて放置)
ストレスなし
人前で話せる
喧嘩しない
楽しい
退屈しない
文章書ける
イデアに不自由しない
面白いと言われる
突発的な課題に様々なアプローチが可能に
※根本
頭は工場じゃないので、効率よくアウトプットするものではない。
農地と考えて、まめに手入れをすることで、収穫物(アイデア)をよいものにしていく。


1)助走
一週間、見開き2ページを使用。あったこと(事実)を書く。名詞+動詞くらい。
2)離陸
あったことに採点を加える。0〜5点でマイナスにはしない。
楽しさ、やりがいを把握する。自分の心の動きをつかまえることが大事。
3)上昇
いよいよノート術を開始。ノートを常に携帯する。
一日、見開き2ページを使用。毎日詳細に書き込む必要はない。考える癖をつける。

●論理
=======> どうなる ==> どうする ==> どうなっていく:自分はどうするのか
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考え ===== =====> 似たようなことは?(以前には、逆に、同様に)
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=======> 掘り下げ ==> なぜ => どうして:なぜ気になるのか

●面白さ   無責任に発想しよう
1:具体的経験談(失敗談)
2:的確なたとえ話
3:「要するに」まとめ、抽象化
4:無茶なギャグ、駄洒落
5:イラストや替え歌
※学ぶときは誰でも信者。学んだら別れるとしておけばよい。
4)巡航
思いつきやアイデアから、仮説や意見にまとめる。これが財産になる。
ノートを付け始めてから三ヶ月でここまで行ける…はず。
「見識」=「知識」+「人格」+「教養」
知識…情報を個人のフィルタをかけて取り込んだもの
人格…かなり重要な要素。知識をどう解釈するかのスタンス
教養…perspective? 視点とか視座、展望。たぶん扱う物事の常識といった意味合いか。
トータルで見て、立場と判断が付きまとう。立場は責任を含むので、発言の重み(根拠)となる。
5)再加速
自分の意見で他人を惹きつけられるようになったら、ようやく他人に向けて発信する段階になる。
それはネットで発言してもよいし、集団に向けて講師のような形でもよい。
以前は実社会(家族・友人・ファン)という層を相手にしていればよかったのだが、これに電脳(SNS、Blog、2ちゃん)といった層が急速に拡大してきた。両方を相手に個人の内部(脳内)を適応させるにはノート術によって深度をつけていくしかないのでは。別に哲学や思想にかぶれる以前に、周辺環境に応じて己をタフにする方向性が大事なのかも。
6)軌道到達
Blogでいえば10万ヒットを達成し、注目や評価が臨界量を越える。
すると考え方や嗜好を流通させるハブとしての機能を獲得する。
注目されていることで、多くの無名なる人の良きアイデアや発言を発掘して広めることもできる。
7)月面都市
ここまで来たら、自分なりの方法論を教える段階。