ウプサラ(スウェーデン)

 ガイドの古賀さん、運転手のエリックさん。
ウプサラ観光のはずだったが、自分の目的がクリスティナ女王に関連するものにあるということを告げると、その関連施設を中心に観光することになる。
スウェーデン女王クリスティナについては、30年戦争のグスタフ・アドルフの娘というだけでなく、下村寅太郎氏の著書「バロック精神史の一肖像」を読んでから、ずっと惹かれている人物である)
とはいえウプサラはクリスティナ女王が退位した場所でもあるので、どちらにしてもウプサラに行くことには変わらない。
まずは日曜朝のウプサラ大聖堂に。しかし。
日曜の大学街なので、朝はあまり人がいない。店も開いてない。大学図書館などの施設もやってない。
大聖堂の見学も、日曜ミサが11時から始まるので、それまでに見るべしという感じだった。
中に入ると、聖歌隊の練習中で、小学校低学年から中学くらいと思われる主に少女たちの一団が歌の練習をしていた。
なんというかエエもんですな。いや本当に。(男はいつまでたっても少年の視点を失わないものなのだ)
眼福、眼福、とか思いながらも、ガイドの説明を聞きつつ、聖堂内のチャペルをまわる。
ここはカトリックの教会として175年かけて建築された北欧最大の教会ということだ。
1500年代の宗教改革でもあまりに惜しいということで破壊を免れたし、街の7割を消失したという火事にも残り、
かなりラッキーな建物でもある。
デンマークの支配から脱した歴史が描かれていたり、王の棺に関する話などを聞く。
スウェーデンの王はもともとデンマーク支配下にあった貴族が農民を煽動して反乱を起こしたところから始まっている。
これがヴァサ王家なのだが、その後ナポレオン時代にベルナドットが王となることでヴァサ王家はどうも途絶えているらしい。
(クリスティナ女王は独身を通したし、いとこのカール10世は36歳の若さで病没している)
王家は全然別の家系が新たに王家としてすげかわっているのだ。
ベルナドットもスウェーデン国債をすべて支払ったり、後継者も存在し、さまざまな現実的な施策によって国民に受け入れられたため、
そのまま王家を継続することになったのだという。


時間がないので、その後の足取りを簡単に書き記す。


ウプサラ宮殿を見学に行く。その小高い丘では、スポーツクラブか何かの100周年記念行事としてマラソン大会を準備している最中だった。
ともかく宮殿内でクリスティナ女王の退位した部屋を見学しようとしたが、ここの見学は13時からであるという話。
そこをガイドの古賀さんが「日本からクリスティナ女王の名刺を作るほどの人がやってきたので、退位した部屋だけでも見学できないか」
とかけあってくれた。
(ちなみに名刺はこんな感じ。私の個人名刺が思わぬところで役に立った。本当はTRPGやSimulation Game仲間用の名刺)
そこまでの趣味の人が来たのなら…といった感じで、ラッキーなことに退位の間の見学が許可された。
さらに退位の間内の撮影許可まで出たのだ。


ウプサラ大学については、その概観だけざっと見た。
日本でいうところの東大や京大にあたるそうだ。
またスウェーデンの教育費は無料だそうだ。
大学はすべて国立。アカデミックな方面に進みたい人には天国のようなところだが、2回追試になった時点で放校とか。
厳しい世界のようだ。最低でも英語とスウェーデン語が要求される。


ここらで昼食。
米の代わりにジャガイモを使ったチャーハンのような食べ物を食べる。
味が濃くて量が多いのにちょっと閉口する。
ここのバイトと思われるお姉ちゃんが結構可愛かった。写真一緒に撮ってくれ、とは言い出せないシャイな俺であった。


ガイドブックの情報からウルリクスダルス宮殿に。
ここにクリスティナ女王が戴冠式のときに使った馬車が展示してあるとの記述があったのだ。
しかし公園のような感じで、これはみつからず。温室のあたりで引き返してしまう。
ここを管理したりしている人間もみつからず、断念。


ガムラ・スタン(ストックホルム旧市街)で王宮の博物館を見学。
ここの受付のお姉さんがかなり私好みの美人でありました。これで眼鏡をかけていたらヤバかったです(?)。
やはりここで一緒に写真を撮らなかったことが悔やまれます。またもやシャイな日本人であることを呪う瞬間ですな。
それはともかく、ここは当然ながら撮影禁止。
しかしグスタフ・アドルフが戦死していたときに騎乗していた馬の剥製とか、クリスティナ女王の着ていた服(2歳頃)とか、
他所ではお目にかかれないものが見れました。ちゃんと保存されているのが凄い。
(まあ日本でも同じ年代だと江戸時代のものならば結構保存されてはいると思いますが。江戸東京博物館、とか?)
とくに西洋剣である直刀のほかに、グスタフ・アドルフのものとして曲刀であるサーベルが展示されていて、
これは騎兵であることによるものかなどと思いをめぐらせて見たり。興奮することしきりでした。
あとは宝剣というのか、結構ゴテゴテと飾り立てられた剣が思いのほか多かったのが意外だった。
宝石をふんだんに…というのは現代人にはちょっと「重い」とか「派手」とか感じさせるだけなんですな。
中でも1本凄い「かっこえー!」と思った剣がありました。
柄はバスケットヒルトで、刀身はへらのような直刀なので本当に斬れるかどうか分からないのだが、
その刀身に何やら(聖なると思われる)文句が、刻んでいるというよりは刀身から浮かび上がるように描かれており、
星も散りばめられている。かなりセンスのある一品だったのではないでしょうか。
ざっと見渡して、とても1600年代とは思えないセンスのある一品が、剣・アクセサリー・マントで見受けられた。
ドレスや服はさすがに手を入れないとキツいものがありますが。当時の精緻な刺繍だけは驚嘆すべきかと。
あとは地下に展示されている王族が使用した馬車を見学して打ち止め。


いろいろ自分用のお土産を買ってしまい、予想外の出費というより荷物。明日からの移動が大変。
身体も一日の移動やら何やらで疲労困憊。大丈夫か?


夕食はホテルのレストランで。
ここの魚料理が思いのほか美味しくて疲労も回復した気に。
明日は朝6時15分発の飛行機に間に合うために4時にはチェックアウト予定。…寝るか。