電脳コイル

たしか細田守監督の話を聞きにロフトプラスワンに行ったときに、“磯光雄”という天才アニメーターに言及していた気がする。
その磯光雄作品とも言うべきなのが(実に原作・脚本・監督にその名がエントリーされている)この「電脳コイル」である。
眼鏡(ゴーグル)娘だらけで、のっけから心を鷲づかみ。
背景世界は、現実世界を電脳眼鏡によって補完された世界を普通に生きる、ちょっと未来の日本。金沢から特別行政区・大黒市に引っ越してきたヒロインの少女ヤサコとその妹が、ちょっと不思議な街とそこに住む人々(といっても少年少女)と出会うところから話が始まっている。
作品は非常に丁寧に描かれ、特徴的な電脳犬デンスケの動きや、ヤサコが走り回るシーンなど、宮崎駿とはまた違ったアニメの動きをちょっと距離感を持って表現している。話の展開はゆっくりしているものの、ヒロインのヤサコが電脳眼鏡を亡くなったお爺さんからもらい受け、電脳犬であるデンスケとの出会いが描かれるなど、じっくりとエピソードを描いているのが印象的でありました。緻密な構成でテンポよく進む細田守監督の方向性とも違うな、とも。
電脳眼鏡って一体どこまでのことができて、人はどこまで依存しているのか、など、いろんな不思議が満載されているので、これまたどこまで見せてくれるのか楽しみであります。
といったところ。
[追記]
メガばあ、きたーーーーーーーーーっ!(ババアですよ、ババア! ほとんど妖怪だけど。)
駄菓子屋流儀(〜百万円)の婆さんはハッカー婆さんでもあり、電脳探偵局局長だったりする。一方で普通に生活する父母は普通の関わり方でしか描かれない。
なんというかこれは正統派なジュヴナイルというか少年少女モノであろう(ほとんど少女しか出てない気もするが)。
ローカルというか懐かしい町並みに、電脳眼鏡と駄菓子並みゆえに子供の素敵アイテムを駆使して、子供の世界で進行している閉鎖的で独特な空間を切り取って描いている。うーむ。
まあ、そんなことはともかく。注目すべきは「うんち!」である。カレーを指差してその台詞は、流石に母も止めるだけの説得力を持つさね。
しかし、矢島晶子は一生分の「うんち!」という台詞を言ってしまったのではなかろうか。
あまつさえ「おしっこ!」という台詞まであるとは。
磯光雄氏が実は矢島晶子ファンで、好きな声優にしょーもない恥ずかしい台詞を言わせるという職権濫用気味の悪戯を仕掛けていたのだとしたら、とても面白いのに…などと考えてみたり。でも「クレヨンしんちゃん」で鍛えられてるから、矢島晶子にその戦術はきかないとの結論も。むしろドロシー(ビッグ・オー)のような対応をしていただくのが正しいように思われる。
すなわち、冷たい声音で「貴方って最低だわ」と。